肺区域切除術とは

右肺は3つ、左肺は2つの肺葉に分かれており、さらに肺葉は右が10、左が8の区域からできています。

肺の区域を単位として切除する肺区域切除は、肺葉切除よりも呼吸機能を温存する手術として、結核などに対して1960年代ごろ盛んに行われていました。しかし、その後は化学療法(抗生物質)の発達により行われることが少なくなっていました。
肺区域切除に再び注目が集まったのは、日本において近年検査体制が確立し、CT検診や他の病気の精査中に、小型の肺がんが見つかることが多くなったためです。

すりガラス状陰影

写真:すりガラス陰影

特に、CTでスリガラスのように見える淡い陰影の小型肺がんでは、標準的な術式である肺葉切除と縮小手術の間に明らかな予後の差を認めないことが報告されています。

図:多施設の後ろ向き試験による2cm以下のStageⅠA非小細胞肺がんに対する肺葉切除、区域切除、楔状切除の治療成績の比較

このため、区域切除で完全切除できる場合では、今や標準術式に近い治療法になりつつあります。ただし、血管や気管支を選り分け、一部を残す必要がある区域切除術は、手術手技が肺葉切除に比べ難しく、経験のある呼吸器外科医により行われる必要があります。当科ではより質の高い手術を行うために、画像解析ソフトを用いて術前検討を行い、区域切除で完全に切除できるか、どの血管・気管支を残すかを確認し、手術に望んでいます。また、術後残存肺容量を測定し詳細な評価を行う臨床試験も行っています。

“肺葉切除と同じ根治性”で、“術後肺機能を可能な限り温存”し、“質の高い生活を送っていただく”ために、当科では積極的に肺区域切除に取り組んでおります。